赤ちゃんを授かったら、一途な御曹司に執着溺愛されました
当たり前だ。
このシュークリームにはサクサクとしたクッキー生地に生クリームとカスタードクリームがダブルで入っていて、私からしたらとても美味しかったけれど、甘い物が苦手な匡さんからしたら相当なダメージだっただろう。
なのにどうして自ら食べたのかというのがわからないほど、私ももう子どもじゃない。
一気にしっとりと重みを増した雰囲気を感じながらじっと見ていると、匡さんが私の顎に手をかける。
そのまま近付いてきた匡さんにキスされると思い目を閉じたものの、唇が当たったのはなぜか唇の端だった。
どうやらそこにもクリームがついていたらしい。
クリームを拭ってくれる舌の動きをもどかしく感じながらも耐えていると、そのうちにふっとした笑い声が聞こえ……そして唇が重なった。
唇を割って入ってきた舌が言葉通り甘くて、私もうっかり笑いそうになるのを耐えながら、匡さんの首に両手を回す。
「ん……」
角度を変え、何度も唇と舌を合わせているのに、もっと深くまで欲しくなる。
キスに夢中になっていると、そのうちに匡さんの手が頬からゆっくりと滑り落ち、首筋を伝い、ブラウスのボタンを外していく。
キスしながらそれがわかり、これからの行為を期待してお腹の奥がキュッとなったところでハッとして匡さんの肩を押した。
詳しいことはよくわからないけれど、今最後までするのはまずい気がする。
「美織?」と不思議そうに呼びかけてくる匡さんに、妊娠の可能性を伝えようとして、でもどうして今まで黙っていたのかと怒られる未来しか見えず、私はたじたじになりながら全力で言葉を選んだのだった。