赤ちゃんを授かったら、一途な御曹司に執着溺愛されました
私、木下美織は、一カ月前、大学卒業とほぼ同時に結婚した。
相手は、幼い頃からずっと好きで好きで堪らなかった初恋相手だ。
けれど、だからと言って〝初恋は実らない〟というジンクスを身をもって打破したのか聞かれると、答えには少し困ってしまう。
文字通り、初恋相手と結婚はした。でも、気持ちがあるのは私側だけなので、そういう点で〝実った〟と表現はできない気がして、夫婦になれてとても嬉しいものの、満面の笑みで頷くのは少し立場を弁えていなすぎる気がする。
だっておそらくこれは、恋愛結婚とは言えない。
でも、私はそれでも彼が……匡さんが好きで、自分でもどうかと思うくらい匡さん以外考えられないのだから、そんな彼と結婚できた私はきっと幸せなのだと思う。
周りに言わせれば玉の輿で、その相手は幼い頃からの想い人。そんな願ったり叶ったりの結婚なのに、さらに匡さんからの愛情まで望んだら罰があたるというもので……つまりこれはやっぱり、幸せな結婚以外の何物でもないのだ。
ああ、今日もカッコいいなぁと思いながら、朝食の席につく匡さんをうっとりと眺める。
ふたりで食事をとるには大きすぎるテーブルは木製のアンティーク調のもので、その上に載っている白く平たいお皿には、とろとろのスクランブルエッグとこんがりと焼かれたベーコン、茹でたブロッコリーとカリフラワーが並んでいる。