赤ちゃんを授かったら、一途な御曹司に執着溺愛されました
「滝から報告を受けている。相葉の隣にぴったりくっついて並んで作業していると」
「あ……はい。相葉くんがお仕事をしている時、よく一緒に庭に出て話し相手になってもらってます」
匡さんが「話し相手か」と呟くので、少し歯切れが悪くなりながらも続けた。
「はい。あの、滝さんたちはとてもよくしてくれるんですけど、やっぱり少し距離があるので寂しくて。その点、相葉くんとは年齢も近いし、彼も私に気を遣わずに接してくれるので話しやすいので……つい」
ただ、桧山家の庭先で作業を見たり手伝ったりしながらおしゃべりしているだけだ。
私自身、相葉くんへの恋愛感情はまったくないので後ろめたい思いはないし、匡さんのトーンだって私を責めている感じではなく、いつも通りだ。
でも、日中滝さんから注意を受けてはいたので一応確認しようと、腕の中から匡さんを見上げた。
こうして触れ合っている時の匡さんからは普段よりも話しかけやすい空気を感じる。
「そういうの、匡さんは不快に思いますか? 滝さんが、匡さんが気にするからほどほどにした方がいいと言っていたので少し気になって」
聞いてはみたものの、返ってくる反応はわかっていた。
〝好きにすればいい〟と即答だろう。
悲しいことに匡さんは私にそういった類の興味はないのだ。
だから、〝どうでもいい〟という意味合いの言葉が返ってくるのは今までの態度からわかっていた。
でも、その予想は半分当たり、半分外れる。