赤ちゃんを授かったら、一途な御曹司に執着溺愛されました
新婚旅行は、イタリアに行った。
披露宴を終え緊張感から解放されていたところを式場のスタッフに着替えさせられ、全部の準備を終えるなり、匡さんの運転する車に乗せられ着いた先は空港だった。
母やもっと上の世代の人は、披露宴を終えたその足で新婚旅行に行ったものだと聞かされたことはあったのでまさかな……と思いながらも車を降りたら、そのまさかだった。
あれだけ立派な挙式披露宴だったのだ。
しかも、ウエディングドレスもお色直しで着たクリーム色のカラードレスも、着付けてもらう際、極上のものだとスタッフから教えられたし、それになにより婚約指輪と結婚指輪にも相当なお金がかかっている。
詳しい価格はわからないにしても、私が数年働いても足りないくらいの金額が動いている気はした。きっと桁が違う。
正直これ以上散財させるのは忍びないと強く感じていたので新婚旅行は行かなくていいと思っていたし、話題が出たら遠慮したいと伝えるつもりだったのに、そんな機会を与えられず問答無用で乗せられた飛行機が降りた先は、イタリアだった。
約十三時間というフライトだったのに、日本を離陸した直後、気圧の変化でふわっとした感覚で寝入ってしまい、起きたのは着陸前のアナウンスだった。
式の疲れがあったとは言え、機内で爆睡した自分自身に驚いたし、機内でのイベントをなにひとつ楽しめなかったことには少し落ち込んだ。
ちなみに、後から聞いたところ、匡さんも少し眠れたらしい。