赤ちゃんを授かったら、一途な御曹司に執着溺愛されました
嬉しさのあまり、うっかり〝大人の女性〟を意識せずに反応してしまったことに自分自身で気付いたのは、振り返った先で匡さんが面食らったような顔をしていたからだった。
慌てて謝った私に、匡さんはわずかに笑みを浮かべているように見える口元に拳を押し当てながら『いや。構わない』と返してくれたけれど、恥ずかしさは消えなかった。
高校二年生の梅雨、あの女性とのツーショットを見た時からずっと子どもっぽい部分は封印してきたのに、よりにもよって新婚旅行で出てしまうなんて最悪だ。
けれどそんな思いは、その後向かった橋の上に並ぶ商店街が、人でごった返していて何をするのも大変な状態だったのでいつの間にかどこかに消えていた。
そして、迎えた新婚初夜。
『あ、まだ……ごめんなさい』
受け入れたものの、まだ動かないでほしいとお願いする。
匡さんが時間をかけて準備してくれた私の体はもう頭までとろとろなのに、匡さんが重なってきた途端、思い出したように緊張してしまっていた。
痛いというよりも、この先動かれたら自分がどうなるかわからないという恐怖が強くて、力を抜いた方がいいとはわかっているのにそれができない。
こんなに匡さんが近いのも初めてだし、ここに至るまで相当恥ずかしい思いをしていたのもあり、軽くパニックだった。
『問題ない。時間はたっぷりある。じょじょに慣れていけばいい』