赤ちゃんを授かったら、一途な御曹司に執着溺愛されました
そう言いながら私の顔にキスを落とした匡さんの輪郭を汗が伝っていて、その眉間にはわずかなシワが刻まれていた。
彼も膠着状態がツラいのに私の気持ちを優先してくれているのだということがわかり、体の奥がキュンと締め付けられた。
それに反応するように、苦しそうな吐息をもらした匡さんに私からキスを強請り……。
『……っ、美織、苦しかったら言え』
『んっ、匡、さ……ん、ぁ』
ゆっくりと動き出した彼に、次第に恥ずかしさも違和感もなにもかもをどろどろに溶かされた。
初めてだったので多少の痛みは伴ったけれど、そんな痛みは忘れるほどの気持ちよさを教えられ、ついでに一緒のお風呂も誰かに体を洗われることも、この日に初体験した。
匡さんの節くれだった指先の硬さも、普段は服に隠れている肌の温度も、キスの仕方も思う存分知ることができた。
今まで埋めたくても埋められずにいた距離が取り払われた気がして嬉しかったし、好きで好きで堪らない匡さんとこんな関係になれたことが幸せでいっぱいだったのは言うまでもない。
イタリアにいる間、毎晩匡さんに抱かれてベッドの上で甘やかされて、これでもかというほどふたりきりの時間を満喫し、浮かれた気分のまま乗り込んだ日本行きの飛行機の中で匡さんが切り出した。