赤ちゃんを授かったら、一途な御曹司に執着溺愛されました
隣にある同様のお皿には自家製スコーンと、クロワッサンとバターロール。数種類のジャムとバターはそれぞれ取り寄せているだけあってとても美味しく、毎朝食べすぎてしまうほどだ。
楽しみにしている日替わりのスープは、今日は枝豆のポタージュだった。
食後には、匡さんはコーヒーを、私は紅茶をいただき、その後、匡さんが仕事に行くのを玄関先まで見送る。
そこまでが桧山家で暮らすようになってからの毎朝のルーティンだ。
そんな朝のルーティンにも、こうして使用人に見守られながらの食事にも、一カ月が経ち、ようやく慣れてきていた。
高級ホテルのレストランでディナーをとっていると思えば、壁際にスタッフが立ち待機しているのもおかしくはない。
けれどここは高級に違いないとはいえホテルではなく一軒家で、今はディナーではなく朝食の席。
落としたフォークは自分で拾えるし、なんなら使った食器の片づけから洗い物まで任せてもらっても構わないのだけれど、匡さんの住む、この桧山家に越してきてから一カ月、私が家事をさせてもらえたためしは一度たりともない。
食事はシェフが作り、それを使用人が配膳する。匡さんと私の食事が済めば自動的に食器が下げられ、洗濯物は畳まれて部屋に戻ってくるし、毎晩眠るベッドは私が部屋にいない間にシーツが替えられている。