赤ちゃんを授かったら、一途な御曹司に執着溺愛されました
こう推測してみても、やっぱりこの結婚には予想通り匡さんの気持ちはない。
そこに若干落胆しつつも、気持ちはどこか晴れ晴れとして前向きだった。
何もわからないままでいた今までよりも、疑問が解決され納得できている今の方がよっぽどいい。
どんな理由にせよ、私は匡さんに選ばれたのだ。
好きな人に結婚相手として選んでもらえるなんて、とんでもないラッキーだ。
少なくとも、匡さんだって私に少しくらいの情はあるだろうし、それに毎晩のようにベッドで体を重ねてくれるし、女性としての魅力が皆無というわけでもない……と思う。多分。
これから、匡さんの好みに合うように頑張れば、もしかしたら……とそこまで考えてハッとして天井を仰いだ。
「もー……相葉くんのせいだ」
色々考えているうちに、やっぱり匡さんに好かれたいな、という希望が消せなくなってしまい、そんな声を出す。
これまではちゃんと我慢できていたのに、一緒にいられれば満足だって思えていたのに、匡さんの気持ちを望むのは当たり前だと背中を押されれば、単純な私はそこに向かって頑張りたくなってしまう。
目標を掲げてしまった相葉くんの責任は重い。
「でも、好みなんてあるのかな」
とりあえず、匡さんに好かれるよう努力したいけれど、匡さんの女性の好みがまずわからず、一歩目でつまづく。
付き合い自体は私が生まれて数日後からあるというのに、匡さんの恋愛関係の話題は一度もしたことがないことに今更気付き、頭を抱えながら滝さんの入れてくれた紅茶に手を伸ばした。