赤ちゃんを授かったら、一途な御曹司に執着溺愛されました


「匡くんって涼しそうな顔して見えるけど、実は結構熱いところもあるでしょ? 麻里奈、匡くんのそういうところ大好きなんだよね。仕事熱心だし、読書家だし、勉強の教え方も上手だし。……あ、付き合いが浅い上、形式上の結婚相手でしかない美織さんには見せない顔かもしれないけど」

紅茶を飲みながら言う麻里奈ちゃんに、うんうん、と頷く。

「わかるよ。匡さんの教え方、すごくわかりやすいよね。それに、匡さんが薦めてくれる本はいつも少し背伸びしたもので、新しい世界が広がっていくのが自分でもわかってドキドキした。私の要点を押さえない感想をちゃんと聞いてくれるのも嬉しかったな」

今までは、私がどんなに匡さんのいいところを話しても、母も友達も〝よっぽど好きなんだね〟と呆れて笑うだけだった。
私が話すのを聞いて相槌は打ってくれる。でも、語り合うことはできない一方通行だった。

だから、そんな私にとって麻里奈ちゃんは初めて匡さんについて色々と話せる相手で、嬉しくてついつい笑顔がこぼれる。

「でも、意外と怖がりなところもあってそういうところも好き」

私の言葉に、てっきり麻里奈ちゃんも同意すると思ったのに、返ってきたのは納得いかなそうな顔だった。


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