赤ちゃんを授かったら、一途な御曹司に執着溺愛されました
話題に移る前に呼び方で突っかかってしまい、しかも失格の烙印まで押されてしまい苦笑いをこぼした。
「じゃあ聞くけど、麻里奈ちゃんと私の関係って今は親戚だし、どちらが偉いも何もないよね? しいて言うなら年齢だけど、それは私の方が年長者ってことになるから、もし対等じゃないって言うなら敬語を使わなくちゃいけないのは麻里奈ちゃんの方かなって思うんだけど」
私の急な反論に目を見開いた麻里奈ちゃんを見ながら続ける。
「私は年がふたつしか違わない親戚なら敬語だとか堅苦しいこと言わなくてもいいかなって思うけど、麻里奈ちゃんが必要だって思うなら敬語使ってくれてもいいけど……どうする?」
私は一般的な教育しか受けていないし、偉そうにものを言える立場でないのもわかっているけれど、やられっぱなしも性に合わない。
幸い、中学から大学まで、意地悪してくるような子はいなくて平和だったのもあり、小さな喧嘩すらなくここまできた。
匡さん相手には赤い傘の女性とのツーショット目撃事件以降、意識して少しおとなしくもしている。
でも、悪意には悪意を持って返すという本質はずっと変わっていない。
多少ならスルーするにしても、しつこく売られた喧嘩は買うタイプだ。
だからおそらく、昔のおでこの傷の原因もそんなところだろうと考えていると、わなわなと怒りに震えた麻里奈ちゃんの険しい眼差しに気付いた。