ビターチョコレートを口の中でゆっくりと溶かす
「あのさ、津川さんさ」

「はい」

 北見くんに話しかけられたが、努めて冷静を装う。今日もかっこいい顔をしている。


 人懐こそうなくじらの形をした目に、通った鼻筋。薄い唇。一切荒れていない肌。

 加えて声もいい。

 この外見だけで十分にモテる条件が揃っている。それに性格もいい。
 

 今まで黒田さん以外の女子と噂が立たなかったものだ。
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