黒猫と竜は白薔薇に恋をする
まさかのメイド?

いやいや。そんな話は聞いていないと二人顔を見合わせているとーーアヤメが血相を変えて叫ぶ。


「あれか?!」


「はい……あれなんですぅ」


メイドらしき少女もか細い声で頷き返す。今にも泣きそうな、どこか深刻そうな雰囲気を醸し出しながら。


(これめんどくさいパターンだな、確定)

(黒猫君承認早すぎ)

(早ければ何事にも越したことはないだろ)

(だから言われるんだよ、血の気多いって)

(多くない)

(そう?イライラすると必要以上に、戦闘するじゃない)

(お前もな)


アヤメは白い手袋をはめ直し、少女もまた頭のリボンを結び直した。


嫌な、予感がする。


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