黒猫と竜は白薔薇に恋をする
どうやってこの広大な庭園で猫を探しだすのか。声がしたからと言って、近くにいるとは限らない。


カナタはうーんと少し考えるようにして。



「騎士が探して見つかるのかなー。だって、騎士には特に厳しいんでしょ?」



それはごもっともである。アヤメはこほんとひとつ咳払いをし、言いにくそうに答えた。


「姫様以外にまったくなつかないと言っただろう。だから姫様に変装してみたり、姫様の香りがするものを借りてーーまあ試行錯誤して、ようやく捕まるんだ」


変装。白薔薇の騎士の誰かが?



暁はもっといい方法があるだろうと思ったが、アヤメの表情は真剣そのものだ。ここはスルーした方がいいーーだが。


「ねー誰が姫様になったの?アヤメ君?」


「全然知りませんでしたぁ!レイカも知りたいですぅ~」


好奇心旺盛を隠すことができない二人がいた。


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