ママの手料理 Ⅲ



「今日は、俺達3人から皆に報告がありまーす!」


夕飯を食べ終わり、テーブルを拭いてもう一度着席した私達家族全員の前に、数時間前に手紙を開けていたあのメンバーが並んで立った。


一番元気そうに笑顔を浮かべながら挙手して発言した大也を見て、


「何ですかいきなり…真面目な話ですか?」


私の隣に座った航海が、気まずそうに口を開いた。


「そうだね、真面目な話だよ。皆一言も漏らさず聞くように」


流石リーダー、大也の何十倍も落ち着いたその声ならば聞く価値がありそうだ。


「…何だよ、早く言えよ」


そこから暫しの沈黙が流れた為、琥珀がイラついた様に舌打ちをした。


そして、例の事を伝える担当らしい大也はニヤニヤと笑いながら私達の顔をぐるりと見回し。


「俺達、3日後に全員でアメリカに行くことになりましたー!拍手!」


大声でその事実を告げると、心から嬉しそうに拍手をし始めた。



しかし、皆の反応は異なっていた。


大也達3人は明らかに喜びのオーラを出しているし、私も海外旅行は初めてだからかなり心躍らせている。


航海も、凄いじゃないですか!、と眼鏡の奥の目を大きくさせているけれど。


「…は?アメリカ?何だってそんな所に行くんだよ。店はどうするんだ」
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