ママの手料理 Ⅲ
あくまで現実主義の銀ちゃんは眉をひそめながら正論をぶつけ、


「なら俺の仕事はどうなる。急に休暇とれってのか?」


あくまで警察官という仕事に重きを置いている琥珀は、浮かれまくる3人組をじろりと睨んだ。


「分かった、じゃあまずは何でこうなったかっていう経緯から説明するね。僕の家族はジェームズっていう名前の執事を雇ってるんだけど、」


まあまあ、と2人を手を上下させてなだめた湊さんは、ひと呼吸おいてこの件の説明を始めたのだけれど。


(執事!?)


彼の口から飛び出た言葉に私はぽかんと口を開け、


「執事…?今執事って言いましたか湊さん。ええっ、凄いお金持ちじゃないですか」


航海もこの事実を知らされていなかったのか、驚きのため息を漏らしていた。


ふと斜め前を見ると、


「お前、こいつに執事が居たなんて知ってたか」


「知るわけねーだろアホ」


銀ちゃんと琥珀が小声で囁きあっていて。


先程聞いていたジェームズという人が執事で、アメリカ…。


何だかスケールが大きくて、頭が痛くなりそうだ。


「ごめん、ずっと言うタイミングを逃しててさ…。とにかくぱぱっと話し終えたいから、一旦僕の話聞いてくれるかな?」


慌てたように取り繕う湊さんの方に向き直った私は、こくりと頷いた。
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