ママの手料理 Ⅲ
「まず、僕の家は両親が貿易会社で働いていてね。2人共いつも海外出張で居なかったから、その間に僕の面倒を見てくれるように執事が雇われたんだ。
…あ、因みに彼は笑美と同じで怪盗パピヨンのオークションで買われたらしいんだけど、親のした事だから僕はこの件について何も知らない。だから、ジェームズが下僕の件に関しての質問は一切受け付けない」


ジェームズが下僕、というくだりで、笑美ちゃんが驚いた様に口に手を当てた。


「それで、14歳の頃…。色々あって、僕は仁と出会った。まあここからも色々あって…話は端折るけど、仁はジェームズと養子縁組をする事で養護園を出たんだ。ここのくだりは琥珀と銀河も知ってるよね?」


かなり話が端折られているけれど、それでも重要な事は理解出来た。


湊さんが成人男性2人に問い掛けると、


「あぁ、そんなに詳しくはねーけど知ってる。こいつ、俺らに行き先も告げないで出てったもんな」


「おう。あの時俺とルームメイトだったってのによ、いきなり相部屋解消して消えちまったんだよ」


2人は顔を見合わせ、曖昧に頷いた。


「ちょっと、僕の好感度下げるような事言わないでよ…!」


そんな2人の辛口コメントに、湊さんの隣に立つ仁さんはしどろもどろだった。
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