ママの手料理 Ⅲ
その後、自分を背後から狙ってきた男の首根っこを引っ掴んだ壱は、そのまま遠心力でその男を引きずり回してフェニックス側の敵を2人一気になぎ倒した。
「何だよ、互角にもならねえじゃねーか!」
その後、何だかんだ言って自分の周りに居た敵を全員倒したー断じて死なせてはいないー壱は、汗で濡れた前髪をかきあげながら湊の方を見た。
「ん?」
しかし、てっきり闘っていると思っていた湊は、
「…お前、何してんだ」
何処か青ざめた顔をしながら、鍵のかかった窓に手をつけて下の景色を凝視していた。
「おい、何してんだよ?…湊、湊!」
窓枠に添えられた手が心做しか震えている様な気がして、急に不安になった壱はその手を掴んで強制的に振り返らせる。
壱が大声を上げたことでようやく意識が戻ったのか、彼は目を最大限に見開いたまま自分より少し高い壱の顔を見上げた。
その濃茶色の瞳は小刻みに揺れていて、何か良くない事が起こったと想像出来た。
「どうした、何かあったのか」
この階に居る少ない敵がこちらに向かって殺気を飛ばしているのを感じ取りながら、壱はあくまで冷静を装ってそう尋ねる。
こんな姿、リーダーらしくない。
ただでさえいつも笑顔を絶やさない彼がこんな泣きそうな顔をするなんて、有り得ない。
「何だよ、互角にもならねえじゃねーか!」
その後、何だかんだ言って自分の周りに居た敵を全員倒したー断じて死なせてはいないー壱は、汗で濡れた前髪をかきあげながら湊の方を見た。
「ん?」
しかし、てっきり闘っていると思っていた湊は、
「…お前、何してんだ」
何処か青ざめた顔をしながら、鍵のかかった窓に手をつけて下の景色を凝視していた。
「おい、何してんだよ?…湊、湊!」
窓枠に添えられた手が心做しか震えている様な気がして、急に不安になった壱はその手を掴んで強制的に振り返らせる。
壱が大声を上げたことでようやく意識が戻ったのか、彼は目を最大限に見開いたまま自分より少し高い壱の顔を見上げた。
その濃茶色の瞳は小刻みに揺れていて、何か良くない事が起こったと想像出来た。
「どうした、何かあったのか」
この階に居る少ない敵がこちらに向かって殺気を飛ばしているのを感じ取りながら、壱はあくまで冷静を装ってそう尋ねる。
こんな姿、リーダーらしくない。
ただでさえいつも笑顔を絶やさない彼がこんな泣きそうな顔をするなんて、有り得ない。