ママの手料理 Ⅲ
(?日本語、話せるんですね…)
男の口から出た言語が日本語だという事に驚いた航海は、銃を構えた姿勢のまま彼の言葉に耳を澄ませた。
「家族、イルンダ…息子ト、妻……」
(何が居るって言いました?……あ、家族。なるほど、家族ですか)
その単語を2度も頭の中で反芻させた航海は、男の命乞いを完全に無視してしっかりと銃を構え直した。
「僕を心底惨めな気持ちにさせておいて、殺さないわけありませんよね」
狙いを定める事もせず、ただ目の前に銃弾を落とす。
びくりと大きく仰け反ったその男は、腹に銃弾が入ったまま動かなくなった。
(ふざけないで下さい、どうして家族の為に貴方を生かさなければいけないんですか)
「妻、息子…。貴方は皆から愛されてていいですね、本当に本当に羨ましいです」
自分は、怪盗mirageという家族の為なら何でもする。
怪盗mirageの為なら幾らでも許しを乞うし、幾らでも人を殺してやる。
けれど、
「何だかんだいって湊さんも両親居ましたしね…。結局何なんでしょうね、僕みたいな存在って」
此処に来て、航海の瞳に初めて迷いが生じた。
自分達は、口先だけだったけれど正真正銘の家族のはずだった。
男の口から出た言語が日本語だという事に驚いた航海は、銃を構えた姿勢のまま彼の言葉に耳を澄ませた。
「家族、イルンダ…息子ト、妻……」
(何が居るって言いました?……あ、家族。なるほど、家族ですか)
その単語を2度も頭の中で反芻させた航海は、男の命乞いを完全に無視してしっかりと銃を構え直した。
「僕を心底惨めな気持ちにさせておいて、殺さないわけありませんよね」
狙いを定める事もせず、ただ目の前に銃弾を落とす。
びくりと大きく仰け反ったその男は、腹に銃弾が入ったまま動かなくなった。
(ふざけないで下さい、どうして家族の為に貴方を生かさなければいけないんですか)
「妻、息子…。貴方は皆から愛されてていいですね、本当に本当に羨ましいです」
自分は、怪盗mirageという家族の為なら何でもする。
怪盗mirageの為なら幾らでも許しを乞うし、幾らでも人を殺してやる。
けれど、
「何だかんだいって湊さんも両親居ましたしね…。結局何なんでしょうね、僕みたいな存在って」
此処に来て、航海の瞳に初めて迷いが生じた。
自分達は、口先だけだったけれど正真正銘の家族のはずだった。