ママの手料理 Ⅲ
｢ちょっとちょっと…ガールフレンド？｣


未だショックから立ち直れない俺はよろよろと後退りし、え"ーっ、と無念の叫びをあげた。


｢だからってさ、俺の事振る？まじで信じらんない、こちとら看板ホストだよ？｣


1人でころころと声量と表情を変えていく俺を、アフロヘア男は怪訝そうな目で見つめてくる。


｢あーもう、リア充憧れてたのに！｣


可哀想だけれど、俺からのアタックに振り向かなかった男は即刻此処から消えるべきである。


大きく息を吐いた俺は、軽くジャンプをして姿勢を正した。


その際に揺れて邪魔に感じたヘルメットをその場に投げ捨て、体勢を低くして構えのポーズをとる。


俺の纏う空気感が一瞬にして豹変したのを感じ取ったのか、相手側も表情を引き締めた。



｢…こっちは飢えてんだよ｣





愛に。





闘いの始まりは、アフロヘアからの回し蹴り。


身体をひねってその攻撃をかわした俺は、男に向かって飛び蹴りを食らわせた。


(どうせ彼女と結婚して家族になるんでしょ！？あーあ羨ましい！こっちは結婚出来ないし、家族には養子縁組解消宣告されたんだからね！？)


怪盗mirageは確かに家族だけれど、それとこれは別物だ。



｢俺、孤独死だけは避けたいんだけど！家族に看取られながら死ぬのを人生の目標に掲げてきたけどさ！｣
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