ママの手料理 Ⅲ
あわよくば、そこに琥珀の姿もあれば100点満点だ。


「それすら叶わないのは最悪だから!…ってか、やっぱり琥珀が1番だわ!良く考えたらこんな奴タイプでもなかった!」


どうして闘いの最中にこんなに話す余裕があるのかと自分でも疑問に思う程、すらすらと言葉が出てくる。


イヤホンでこの会話を聞いているはずの琥珀は、特に口を挟んでこない。


(あーやだやだ、早く終わらせて上の階行こ!)


先程まで整った顔だと思っていたアフロヘア男の顔面を膝で蹴り上げた俺は、一旦距離を取って拳に力を込めた。



その時。


「White hair…?(白い髪…?)」


息を整えながら、ヘルメットを投げ捨てた事で顕になった地毛を見たアフロヘア男が困惑した様に呟いた。


「白髪だけど何か文句でもあんの?」


そういうの差別って言うんだよ、と吐き捨てた俺は再び間合いを詰め、男のみぞおちに容赦せずパンチを繰り出した。


俺の拳は綺麗に急所にヒットし、アフロヘア男はみぞおちを押さえてふらりとよろめく。


「ねえ本気出して、じゃないと殺しちゃうよ?」


生かしておこうかと思ったけれど、力加減も面倒だし一息に殺すのが手っ取り早い。


男の腹を蹴り飛ばし、睨みをきかせながらそう脅すと。
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