ママの手料理 Ⅲ
全く反省の色を見せずに言い訳をし、ついでにまぶたの裏に浮かんだ伊織の姿を説明すると、



「それ大仏だろ」



絶妙に俺のツボを押す発言が飛び出して。


「あーっ、大仏!くっくっくっ、絶対それだ、やばいお腹ちぎれるあははははっ!」


確かに、大仏とタピオカ頭の伊織は何処となく雰囲気が似ている。


2つの像を頭の中で比べ、ヒィヒィ言いながらお腹を押さえた俺は、


「…駄目だ、こうしちゃいられない。壱、フェニックスが居るよ」


物陰に隠れて俺達の方に銃を向けている敵の存在に気づき、瞬時にスイッチを切り替えた。


「よく切り替えられるな…俺撃たれたくねーからお前が殺れ」


「年下に仕事押し付けるなんて、この業界ブラック過ぎるでしょ」


憎まれ口を叩きながらも、先程の“怪物”事件で怖いものなしになった俺は、瞬きひとつで目付きを変えて敵に向かって手招きをした。


「そういう威嚇する暇あるなら、自分の身守った方がいいよ?」


俺の言葉を聞いた敵は、ぽかんと口を開ける。


それでも気を取り直したそいつは、銃を構え直す……


「どこ見てんだよ」


事すら叶わず、左隣から飛んできた力強い拳をモロに受け、その場に伸びてしまった。
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