ママの手料理 Ⅲ
逆に清々しくなる程のその即答ぶりにmirageの両親役は我慢出来ずに吹き出し、自分の恋心を再度罰に乱用した大也は、嬉しそうな残念そうな何とも言えない表情を浮かべた。


今のは、完全に彼の自業自得である。



「じゃあ、皆行くってことでいいかな?えーっと人数は、僕と仁と大也でしょ、紫苑に銀河…」


それからすぐ、未だ頬を引き攣らせている湊さんは、それを隠すように真面目な声を出しながら指折りで数を数え始めた。


「笑美も連れて行きたいから、合計で8人か!9人分の飛行機のチケットがあるから、1枚余るね」


数を数え終わったリーダーは、にこにこと笑いながら私達を見回した。


「一応、この飛行機のチケットは怪盗mirage宛になってるんだけど…」


私と笑美ちゃんを除くと、怪盗mirageは7人である。


しかし今この場にいるのは6人だけで、残る1人は──。


「誰か誘いたい人いる?」


「それ、もしかして伊織の分なんじゃ…?」


修学旅行の様なテンションで質問を投げかけた仁さんの声に被せるようにして、私は頭に浮かんだ予想をぼそりと口にした。


途端、全員がくるりとこちらを振り返って。


(…やばい、伊織の話題って禁句だっけ、?)


同じチームとして活動していたはずの皆の目からは、何の感情も読み取れなかった。
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