ママの手料理 Ⅲ
「…あ」
いつ撃たれたのだろう、俺の左足首からはドクドクと血が流れていた。
(…撃たれちゃった)
しかし、猛烈な喪失感に襲われている俺は最早痛みすら感じなくて。
傷口に手を当てると、べっとりと醜い赤が付着した。
そのまま視線を後ろに流すと、今がチャンスとばかりに柱の向こう側からこちらに狙いを定めている怪盗フェニックスの女が目に入って。
長く黒いポニーテールを揺らし、ライフルを構えるその姿は様になっていたけれど、色気も何も感じない。
(…よくこんな状況で…)
生気のない目でそいつを睨み付けた俺は、仁の顔に血で濡れたジャケットをそっと掛けてゆっくりと立ち上がった。
酸欠だろうか、少し頭が痛い。
けれど、そんな事を考えられる余裕がない程、俺の頭は復讐の2文字で覆い尽くされていた。
(仁と壱の仇だ。…ぶっ殺してやる)
アドレナリンのお陰もあるのか、左足に力を入れても何も感じなかった。
仁を撃った拳銃を握ったままの女からそれを奪い取った俺は、弾の確認をしてから新たな敵に目を向けた。
そいつは俺の置かれている状況なんて知る由もないから、ケラケラと楽しそうに笑っている。
俺は深呼吸をし、震える手に力を込めた。
「……地獄に堕ちろ、クソババア」
いつ撃たれたのだろう、俺の左足首からはドクドクと血が流れていた。
(…撃たれちゃった)
しかし、猛烈な喪失感に襲われている俺は最早痛みすら感じなくて。
傷口に手を当てると、べっとりと醜い赤が付着した。
そのまま視線を後ろに流すと、今がチャンスとばかりに柱の向こう側からこちらに狙いを定めている怪盗フェニックスの女が目に入って。
長く黒いポニーテールを揺らし、ライフルを構えるその姿は様になっていたけれど、色気も何も感じない。
(…よくこんな状況で…)
生気のない目でそいつを睨み付けた俺は、仁の顔に血で濡れたジャケットをそっと掛けてゆっくりと立ち上がった。
酸欠だろうか、少し頭が痛い。
けれど、そんな事を考えられる余裕がない程、俺の頭は復讐の2文字で覆い尽くされていた。
(仁と壱の仇だ。…ぶっ殺してやる)
アドレナリンのお陰もあるのか、左足に力を入れても何も感じなかった。
仁を撃った拳銃を握ったままの女からそれを奪い取った俺は、弾の確認をしてから新たな敵に目を向けた。
そいつは俺の置かれている状況なんて知る由もないから、ケラケラと楽しそうに笑っている。
俺は深呼吸をし、震える手に力を込めた。
「……地獄に堕ちろ、クソババア」