ママの手料理 Ⅲ
怪盗mirageなら大丈夫だと思うけれど、怪盗OASISの時みたいに負傷者が出る可能性も無くはない。


そうなった時に、此処に伊織が居れば…と悔やみたくないから。


ありがた迷惑だろうと、私が出来る事はこのくらいしかなかった。



「紫苑ちゃーん、お風呂湧いたってー!先入っていいよー!」


その時、ドアの向こうからやたらとテンションの高いホストの声が聞こえてきた。


「私今忙しいから、先入っててー!」


「紫苑ちゃん神ー!ありがとー!お礼と言っちゃなんだけど、後で常連さんから頂いた入浴剤あげるねー!」


大声で返答すると、語尾をやたらと伸ばした返答が聞こえてきた。


(常連さんから貰った入浴剤、私にあげちゃって大丈夫そう、?)


ホストクラブに来るお客さんの事だから、きっと高いブランドのものを大也にあげたに違いない。


そんなものを貰うなんて恐れ多い…、と思いつつ、


「ありがとー!」


私はしっかりと感謝の意を伝えた。



その後、ルーズリーフを折り畳んで航空券と一緒に入れた私は、糊でがっちりと封をしながら中森さんとメッセージアプリでやり取りをしていた。


内容はもちろん、先程書いた手紙の事である。







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