ママの手料理 Ⅲ
あはは、と笑って曖昧に誤魔化すと、話す価値がないと思われたのか目を逸らされた。


琥珀、あなたには本当に人を守る警察官としての素質があるのだろうか、私はつくづく疑問に思うよ。


(何なんだこの男…!毒舌マシーンのくせしていざとなったら強いし、泣いた時は儚く見えるし、そういうギャップに大也が惚れるんでしょうが…!)


そんな警察官に毒を吐きつつ、しれっと大也を援護する様な考えを抱いていた私は、


「お、中森が来たらしいから行くわ。じゃあな」


ひらり、と手を振ってリビングを出ようとする琥珀の声で我に返った。


「中森さん?中森さん居るの!?」


わざとらしく大声をあげ、まるで20年振りに旧友に会う女性のように目を輝かせる。


「あ、ああ」


「私も会いたい!3秒だけ!」


驚いた様に片眉を上げた琥珀と、ソファーに寝っ転がってすやすやと寝息を立て始めた大也には目もくれず、私は一目散に外に向かって駆け出した。



「中森さん、おはようございます!」


「あっ、紫苑ちゃんー!おはよう!」


琥珀よりも早く外に出る事に成功した私は、丁度車から降りて来た中森さんに駆け寄った。


「手紙どこ?この中入れて!」


「本当ありがとうございます、後は託しました」
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