ママの手料理 Ⅲ
「皆着いたよ起きてー!」
「……ん、」
いつの間にかホテルに到着していたらしい私達は、湊さんの優しい声で目を覚ました。
私は大也を膝枕に、彼は私の背中を枕代わりにして寝ていて、
「仲がよろしいことで」
と、あれから一睡もしていなかったらしい仁さんに鼻で笑われた。
その後、むさ苦しい男共が揃いも揃って降りようとドア付近に群がるから、私は後ろの方で笑美ちゃんと待機するしかなくて。
「うわあ…これ、凄いホテルですよ皆さん!有名人も居そうなレベルです!」
1番先に降りた航海の興奮気味な大声が聞こえてくるから、好奇心は最大まで高まっているのに動けない。
「早く降りてよ皆!」
何をするにも順番というものを知らない怪盗mirageに、私は呆れながら声を張り上げた。
「…これは凄い、スケールが違う」
それから数分後、ようやく地上に降り立った私が見つけたものは、まるでお城のような外観を持つ美しい建物だった。
それは優に20階はありそうな高さで、エレベーターがあるのか中央部分は楕円形、左右に客室が並んでいる構造になっている。
ふと振り返ると、ホテルの真正面には大きな人口湖があり、それを分断する様に横一列に造られた噴水が大きく咲いていた。