ママの手料理 Ⅲ
言うか言わないかは本人が決める事だから口出しは出来ないけれど、リーダーなら怪盗mirageが“家族”という存在に異様に固執していると分かっているはずだ。
そして、彼らが家族から貰えるはずだった“愛”に飢えているという事も。
もっと早くに手を打っておけば良かったものの、彼はどうしてこんなに伝えるのを引き伸ばしたのだろう。
航海にどう返答していいか分からず、私が口ごもったその時、
「…航海、俺らも家族だろ。変な事考える暇あんならお前のアスパラ食べるぞ」
私が戸惑っているのに気付いた銀ちゃんが、タイミング良く助け舟を出してくれて。
「止めて下さい、これ最後に食べるって決めてたんです」
生真面目な顔で、いつもの調子に戻った航海が銀ちゃんから自分の皿を遠ざけた。
「…ごめん、俺今食欲無いからさ、この夕飯部屋に持ち帰れたりするかな」
それから、大也と仁さんはすぐにこちらに戻ってきた。
湊さんは1度戻ってきたものの今度は笑美ちゃんをジェームズさんに紹介しに行ってしまって、まだ食堂の奥の方に居る。
せっかく家族に会えて笑顔で駆け寄って行ったはずなのに、戻ってきた大也は青白い顔を浮かべていた。
「あ、じゃあ林堂さんに聞いてみるけど…。何かあったの?」
あんなに食欲旺盛な大也が夕飯を半分以上残すなんて、普通は有り得ない。
そして、彼らが家族から貰えるはずだった“愛”に飢えているという事も。
もっと早くに手を打っておけば良かったものの、彼はどうしてこんなに伝えるのを引き伸ばしたのだろう。
航海にどう返答していいか分からず、私が口ごもったその時、
「…航海、俺らも家族だろ。変な事考える暇あんならお前のアスパラ食べるぞ」
私が戸惑っているのに気付いた銀ちゃんが、タイミング良く助け舟を出してくれて。
「止めて下さい、これ最後に食べるって決めてたんです」
生真面目な顔で、いつもの調子に戻った航海が銀ちゃんから自分の皿を遠ざけた。
「…ごめん、俺今食欲無いからさ、この夕飯部屋に持ち帰れたりするかな」
それから、大也と仁さんはすぐにこちらに戻ってきた。
湊さんは1度戻ってきたものの今度は笑美ちゃんをジェームズさんに紹介しに行ってしまって、まだ食堂の奥の方に居る。
せっかく家族に会えて笑顔で駆け寄って行ったはずなのに、戻ってきた大也は青白い顔を浮かべていた。
「あ、じゃあ林堂さんに聞いてみるけど…。何かあったの?」
あんなに食欲旺盛な大也が夕飯を半分以上残すなんて、普通は有り得ない。