君が紡ぐ初恋を、独り占めしたい。
「だったら、これを機にデビューするってのはどう?」
「賛成!みんなでトークするのって楽しいからさ」
「そうだよ!やり方なら私たちが教えるし」
なんだか目に見えない圧を感じるのは気のせい?
今のところ特にやりたいと思わないから断りたいけど、言い出しづらい雰囲気。
どう切り抜ければいいか、考えていたその時。
「無理強いするのは良くないと思うけど」
透明感のある声に振り向くと、私の列の一番後ろの席に座っている女の子がこちらをジッと見つめていた。
黒髪のストレートロング。
目はパッチリ二重で鼻はスッと高く、綺麗な顔立ち。
まさに美少女といった感じの子だ。
「やるやらないは個人の自由。勧めるのは勝手だけど、度が過ぎると単なる押しつけになるんじゃない?」
冷ややかな視線を浴びた女の子たちは気まずくなったのか、“良かったら検討してみてね~”と言って、各自の席に散っていった。
黒髪の女の子は何事もなかったかのような表情で立ち上がると教室を出ていく。
お礼が言いたくて、私は彼女のあとを追いかけた。