君が紡ぐ初恋を、独り占めしたい。
「星谷、おはよ!」
「朝丘くん、おはよう」
お日さまのようにキラキラした笑顔。
元気を貰えそうな明るい声。
そして、フワリと漂ってくる爽やかな香り。
この匂いはシトラス系かな…?
思わずスンスンと嗅いでいると、朝丘くんは焦った様子で少し後退りをした。
「もしかして、汗臭い?」
「えっ」
「さっきまでサッカー部の朝練やってたから。一応、制汗スプレーしてきたんだけど」
朝丘くん、サッカー部に入ってるんだ。
運動苦手だから、抜群に出来る人って尊敬してしまう。
「汗臭くないから大丈夫だよ!そうじゃなくて爽やかで良い匂いだなと思ったの。私、花とか柑橘系の香りが好きだから」
「そ、そっか。それなら良かった」
朝丘くんの顔、少し赤いような気が…。
ハードな朝練だったのかな?
心配していると、朝丘くんは斜め上の方向に視線を向けて軽く咳払いをした。