君が紡ぐ初恋を、独り占めしたい。
「あっ、星谷 桜藍ちゃん!」
「は、はい」
いきなりフルネーム!?
まさか名前を呼ばれるとは思ってなかっただけに、ビクッと肩が上がってしまった。
「俺、真柴 芽(ましば めぐむ)。サッカーとお喋りが大好きで、那青とは小学生の頃からの付き合い!みんなからはメグとか芽って呼ばれてるから桜藍ちゃんも気軽にそう呼んでね!末永くよろしく~」
ノリが軽い……。
しかも長い自己紹介なのにスラスラと言える辺り、慣れてる感じが半端ないな。
「もしかして真柴くんも私と会ったことあるの?」
「桜藍ちゃんを見かけたことはあるけど、こうやって話すのは今日が初めてだよ。ちなみに名前は那青から聞いた」
なるほど、そういうことか。
真柴くんも、初対面だと思っていたら実は話したことがありますパターンかと思って焦った。
「コイツ、桜藍ちゃんと同じクラスになれて昨日からずっと浮かれてるんだよ~!」
「えっ」
「去年はいつも桜藍ちゃんのことを……」
突然、朝丘くんが真柴くんの口を手で塞ぐ。
何か言いたげにモゴモゴと声を発する真柴くんに鋭い視線を放った。