君が紡ぐ初恋を、独り占めしたい。
午前の授業が終わり、昼食タイム。
私は中庭にやって来た。
今日はいい天気だし、ここで食べよう。
大きな円形花壇の周りに置かれたベンチの一つに腰かける。
「いただきます」
膝の上にひろげたお弁当箱を手に持って、ご飯を食べ始めた。
「あっ、ここで食べてるんだ」
今の声は……。
顔を上げると、朝丘くんが小さなビニール袋を手に提げてこちらに歩いてきた。
「今日は中庭で食べたい気分だったから」
「俺も一緒していい?」
「う、うん」
私と一緒に食べてもつまらないと思うんだけど、いいのかな。
突然の提案に戸惑いながらも頷くと、朝丘くんは私の隣に座った。
「そう言えば、今朝はマジでごめんな。メグは誰にでもあんな感じで気さくに話しかけるヤツだから」
「始めの軽快な自己紹介にはビックリしたけど、朝丘くんとのやりとりを見ているのは楽しかったよ。仲が良いんだなって笑顔になっちゃった」
「アイツとは何でも言い合う仲なんだ。付き合いが長いのもあって、考えてることや何を言いたいのかを察する時もある」
「じゃあ今朝のアレは……」
口を手で覆う動作をしてみせると、朝丘くんは恥ずかしそうに人差し指で頬を掻いた。