君が紡ぐ初恋を、独り占めしたい。

「私、朝丘くんに部活のこと話したっけ?」


「ううん。でも、花の水やりや花壇の草むしりをしているのを見たことがあるから」


そっか。


朝丘くんはサッカー部。


グラウンドに面した校舎の近くにも花壇があるから、部活をしている時に視界に入ってたんだ。


「この高校って緑や花が多いから癒しだよな」


「創設者の人が花や植物が大好きだったらしくて、生徒たちの憩いの場になるようにって中庭の円形花壇や屋上庭園を取り入れたんだって。それ以外の場所にも色んな花壇が……」


ヤバい。


何を熱く語りはじめているんだ、私は。


好きなことを話すのって楽しくて、どんどん言葉が出てくるけど、興味ない人からすればつまらないよね。


「勝手に話を広げてごめんね。どうでもいいよね、そんな話」


「そんなことないよ。星谷の話、いくらでも聞いていられる」


「そ、そう?」


「俺、花の知識とか殆どないけど興味はあるから、もっと色んなこと聞かせてよ」


まさか、そんな反応が返ってくるとは思わなくて。


驚きつつも、嬉しさでいっぱいになる自分がいた。


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