君が紡ぐ初恋を、独り占めしたい。

「こっ、こんな話されてもって感じだよね。ごめんね」


朝丘くんが聞き上手だからかな?


ついつい色んなことを話してしまう。


「確かに趣味とか価値観が合う人の方が話も盛り上がるし居心地いいよな。でも…」


ほんの少しだけ間を置いた後、朝丘くんは爽やかな笑みを浮かべた。


「好きなものや考え方が違う人と友達になるのも案外楽しいよ。視野が広がって世界も変わる。新しい自分になれた気がして嬉しいんだ」


そんな考え方、今までしたことなかった。


「でも相性とかもあるし、無理して友達を作らなくてもいいと思うよ。今のはあくまで俺の個人的な意見だからさ」


昼食を終えた朝丘くんは先に教室へと帰っていく。


その後ろ姿を目で追った。


なんだろう、この感覚。


水面が乱反射した時のような、無数のキラキラが心を埋めつくしていて。


不思議な気持ち。


友達は作らなくてもいいかなって、高校に入学した当初から思ってきたけど…


その気持ちが変わるなんて思ってもみなかった。


私、朝丘くんと友達になりたいな。


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