君が紡ぐ初恋を、独り占めしたい。
もしかして、この場所で朝丘くんに出会った?
この体勢で不思議な感覚がしたということは、草むしりしていた時なのかも。
もう少しで記憶の糸が繋がりそうな気がする。
ツツジの木をジッと見つめて考え込んでいると、雲間から覗いた夕日が体育館裏に差し込む。
その瞬間、頭の中にパッと光景が浮かんだ。
去年。
夏休みが間近に迫った、ある日の放課後。
この場所で。
『あのさ、君ってイニシャルがM.Oだったりする?』
『いきなり変なこと聞いてごめん』
『俺、その人に呼び出されてここに来たんだけど……まだいないみたいだな』
もしかして、あの男の子が朝丘くん…?
あの時、あまり関わり合いたくなくて顔を見ないようにしていたから、絶対に…とは言いきれないけど声が限りなく似てる。
確かめたい。
この時間なら、まだグラウンドで練習していると思うし。
急いで向かおうと走り出した私だけど、直ぐに足を止めた。