君が紡ぐ初恋を、独り占めしたい。
「あれ、やけに早くない?」
「メグと違って、俺は長話しないんだよ」
朝丘くんは呆れた顔でため息をつく。
そして、私たちの傍まで歩いてきたかと思うと、真柴くんの腕を掴んだ。
「ところで、お前はどうして星谷の手を握ってんの?」
棘のある声。
真柴くんは慌てた様子で手を離した。
「普段、女の子と帰る時は手を繋ぐことが多いから思わず……」
「お前は人との距離感が近すぎ。いつも仲良くしてる女子たちと同じような感覚で接するなよ。星谷が困惑してるじゃん」
「星谷さん、ごめんね」
あまりにも自然な流れで手を握られたから、驚きとか戸惑いを飛び越えて、無の境地の一歩手前ぐらいにトリップしてた。
それにしても、誰とでもフレンドリーに絡んじゃう真柴くんは凄いな。
「メグ、今日は予定があるんだろ?早く帰った方がいいんじゃないか?」
「予定って言っても夜だから急ぐ必要はないんだけど、一人で帰るから安心しろって」
真柴くんは興味深そうな表情で朝丘くんを見つめた。