君が紡ぐ初恋を、独り占めしたい。

「意外と表情や態度に出るんだな」


「なんでニヤついてんだよ」


「那青との付き合いも長くなってきたけど、まだ知らない一面があるんだなって嬉しくなっただけ。じゃあな」


行っちゃった。


急ぎの用事じゃなければ、みんなで帰っても良かったような……。


「本っっ当にごめん。アイツも決して悪気は無いんだけど。明日、改めて注意しておくから」


「べ、別にそこまでしなくてもいいよ」


「でも……」


「それより、朝丘くんに早く話したいことがあって。今日は難しいかなと思ってたから会えて良かった!」


「俺に?」


私が頷くと、目を見開いていた朝丘くんは少し照れくさそうに笑った。


「じゃあ、帰り道で聞かせてくれる?」


「うん」


学校を出た私たち。


夕日でオレンジ色に染まった空の下。


早速、私は口を開いた。


「朝丘くんと初めて会ったのは去年の7月。場所は体育館裏だと思うんだけど、合ってるかな?」


緊張しながら反応を伺うと、朝丘くんは白い歯を見せながらニッコリ笑った。


< 28 / 56 >

この作品をシェア

pagetop