君が紡ぐ初恋を、独り占めしたい。
「意外と表情や態度に出るんだな」
「なんでニヤついてんだよ」
「那青との付き合いも長くなってきたけど、まだ知らない一面があるんだなって嬉しくなっただけ。じゃあな」
行っちゃった。
急ぎの用事じゃなければ、みんなで帰っても良かったような……。
「本っっ当にごめん。アイツも決して悪気は無いんだけど。明日、改めて注意しておくから」
「べ、別にそこまでしなくてもいいよ」
「でも……」
「それより、朝丘くんに早く話したいことがあって。今日は難しいかなと思ってたから会えて良かった!」
「俺に?」
私が頷くと、目を見開いていた朝丘くんは少し照れくさそうに笑った。
「じゃあ、帰り道で聞かせてくれる?」
「うん」
学校を出た私たち。
夕日でオレンジ色に染まった空の下。
早速、私は口を開いた。
「朝丘くんと初めて会ったのは去年の7月。場所は体育館裏だと思うんだけど、合ってるかな?」
緊張しながら反応を伺うと、朝丘くんは白い歯を見せながらニッコリ笑った。