君が紡ぐ初恋を、独り占めしたい。
カッコよさと綺麗さを兼ね備えた端正な顔立ち。
髪は少し赤みがかった茶色で、チョコレートコスモスのような色合いだ。
「大丈夫?ケガしてない?」
心配そうな表情で私を見つめる男の子。
ネクタイの色が赤ということは、私と同学年だ。
「無傷です。あの、迷惑かけてしまってすみません」
「悪いのはさっきの男だから。それはそうとクラス替えの発表は見た?」
「さっき見ました」
「そっか。ちょっとだけ待ってて」
茶髪の男の子は優しく微笑むと、掲示板を見に行ってしまった。
まだ何か話がある…とか?
よく分からないままその場で待つこと数分、彼は笑顔で戻って来た。
「俺も2組だから教室まで一緒に行こう?」
「えっ、は……はい」
特に話の続きがあるわけじゃなさそう。
それよりも、今の言葉。
まだ名乗ってないのに、どうして私が同じクラスだって分かったんだろう?
疑問に思いながらも、彼に続いて歩き始めた。