君が紡ぐ初恋を、独り占めしたい。
『だけど、図書委員じゃない俺がカウンターに居てもいいのか?』
『那青は中学の時に図書委員の経験があるから大丈夫!それに、現役図書委員の俺が一緒に当番やってるんだから問題ナシ!』
あっ、そう。
親指を立ててニッコリ笑うメグに冷ややかな視線を向けた。
『んじゃ、俺は本棚の整理してるから何かあったら呼んでくれ』
『はいはい』
仕方ない。
長時間の作業ってわけじゃないし、付き合ってやるか。
今日はどしゃ降りの雨。
用事がない生徒は早く帰るだろうから、図書室の利用者も少なそう。
今のところ、誰もいないし。
暇そうだから英語の課題でもやるか。
早速、英文のテキストを読み始める。
メグも黙々と作業しているのか、図書室に響くのは大きな雨音だけだ。
ここの解釈、難しいな。
眉間にシワを寄せて考えていた時だった。
『すみません、本の貸出をお願いしたいんですけど……』
ヤバッ、いつの間にか利用者が来てたのか。
慌ててテキストをカウンター下に置いたスクバに放り込む。
顔を上げた俺は、思わず“あっ”と声を出してしまった。