君が紡ぐ初恋を、独り占めしたい。
「そういえば自己紹介してなかったよね。俺は朝丘 那青」
「初めまして、私は……」
「星谷 桜藍さん、だよね?」
「名前、どうして知ってるの?」
「俺たち今日が初めましてじゃないから」
「えっ!?」
今日一番の大きな声が飛び出す。
さっきが初対面だとばかり思っていただけに、目を見開いてしまった。
「やっぱり覚えてないか」
朝丘くんはアハハと苦笑する。
「星谷と話をするのは今日で3回目だよ」
「………」
更なる衝撃的な言葉に、驚きすぎて声も出ない。
私、これまでに朝丘くんと会話したことがあるの?
一度ならず二度までも!?
「覚えてなくて、ごめんなさい」
男子と話すこと自体、それほど多くないから記憶に残りそうなものなのに。
“もしかしたら、あの時かも”みたいな漠然とした心当たりすら浮かばないなんて。
失礼すぎるでしょ、私。