君が紡ぐ初恋を、独り占めしたい。
『それに、恋は自分の意志でするものじゃないぜ?無意識のうちに惹かれて、気付いた時には心が好き一色で染まってるんだよ』
『なんだよ、それ』
『俺の経験談』
『はいはい。俺のは別に恋とか……そういうんじゃないから』
『ふーん』
ニヤッと口角を吊り上げるように笑って、本棚の方へと戻って行くメグ。
絶対、面白がってる。
なんか期待しているみたいだけど有り得ないって。
誰かを好きになるなんて、俺には無縁の話なんだから。
ー*ー*ー*ー*ー
でも、あの時。
“星谷に対して抱いた気持ちは決して恋じゃない”
そう否定すればするほど、言い表せないような違和感が心の中に広がっていた。
以降、校内で星谷を見かけた時はドキドキしながら目で追うようになって。
今日も姿を見れたらいいなと期待するようになって。
学校のみならず、家でも星谷のことを考える時間が増えていった。
気付けば、好き一色。
無縁だと思っていた恋に、いつの間にか落ちていた。