君が紡ぐ初恋を、独り占めしたい。
大通りに面していないとは言え、雑誌にも掲載されたことがあるカフェだから、お客さんは結構やってくる。
接客に追われているうちに、あっという間に勤務時間が終了。
私は津々見さんと一緒に更衣室に入った。
「今日はちょっと忙しかったね~」
「そうですね」
いつものように何気ない会話を交わすけど、鼓動は普段と違って速い。
お昼休みの時もそうだった。
自分から誰かを誘うのって、思ってた以上に緊張する。
「星谷さん、どうしたの?動きが完全に止まってるけど……」
「なっ、何でもないです。それはそうと、津々見さんは麗ヶ丘のフラワーフェスティバルって知ってますか?」
「もちろん、知ってるよ~!規模が大きくて花好きにはたまらないイベントだよね。ここ数年は行けてなかったから、また行きたいと思ってたんだ~」
「あの、良かったら一緒に行きませんか?母と行く予定だったんですけど、仕事で急に行けなくなってしまったので」
“えっ、いいの!?”と言わんばかりのキラキラとした目をする津々見さん。
でも、すぐに顔を曇らせてしまった。