君が紡ぐ初恋を、独り占めしたい。
「ごめんね。誘ってもらえて凄く嬉しいし行きたいんだけど、その土日はバイト入ってるんだ」
「いえ、いきなりお誘いしたのは私なので謝らないで下さい。でも、シフトって入ってましたっけ?」
「もともとは入れてなかったんだけど、他の子と替わってもらったの。私、そこの週末でバイト辞めることになったから」
「えっ、そうなんですか!?」
突然のことでビックリした私。
思わず声のボリュームが上がってしまった。
「ちょっと家の事情があって」
苦笑いする津々見さんの目は悲しげだ。
いつも笑顔で楽しそうに仕事している姿が印象的だったからなぁ。
本当は続けたかったんだろうな、きっと。
「まだ一緒のシフトの日もあるから、最後まで宜しくね」
「はい!」
着替えを終えてお店を出た私たち。
大通りのバス停で津々見さんと別れて、夜の街を歩きだした。