君が紡ぐ初恋を、独り占めしたい。

「別に謝らなくていいよ。興味関心やインパクトが無い出来事って忘れやすいし」


それって、つまり……


「朝丘くんが覚えてるってことは、私が変な発言をしちゃった感じ?」


「変っていうより、面白かった」


その時のことを思い浮かべていたのか、朝丘くんからフッと笑いが零れる。


どっちも同じような意味合いな気が……。


ますます気になる。


一体、私はいつどこで何を言ったんだろう。


そんなことを考えているうちに、いつの間にか新しい教室に到着。


中に入ると女の子たちの視線が朝丘くんに注がれて。


そのうちの数人が傍に駆け寄ってきた。


「朝丘くん、おはよう」


「おはよ」


「また同じクラスになれて嬉しい!今年もよろしくね」


「うん、よろしくな」


笑顔で話しかける女の子たちに、朝丘くんは明るく爽やかな声で答える。


そういえば、エントランスホールでもチラチラと見ている女の子が何人もいたような……。


朝丘くんって、人気者なんだ。


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