君が紡ぐ初恋を、独り占めしたい。

こんな時間にサッカー?


近所の子どもたちが遊んでいるんだろうか。


不思議に思いながらボールを拾い上げて辺りを見回す。


薄暗い視界の中、右側に広がる芝生の方からこちらに近付いてくる足音が聞こえてきた。


「すみません。そのサッカーボール蹴ったの俺です。ケガしてないですか……って、星谷っ!?」


「朝丘くん!?」


ボールの主は、まさかの顔見知り。


お互い目を見開いて驚いてしまった。


「どうして星谷がここに?」


「アルバイトの帰りで、たまたま今日はここを通ったんだ」


「えっ、バイト!?こんな時間まで?」


「いつもは19時までなんだけど、今日はちょっと忙しくて長引いちゃったんだ」


「そっか……」


心配そうな表情。


もしかしたら、体調とか気にかけてくれてるのかもしれない。


「朝丘くんは、サッカーの練習?」


「うん、自主練ってヤツ」


「部活も頑張ってるのに更に自主練だなんて凄いね!」


朝丘くんは何故か不自然に視線を逸らすと、苦笑いをした。


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