君が紡ぐ初恋を、独り占めしたい。

っていうか、教室の入り口で立ち止まっている場合じゃない。


早くクジを引かなくちゃ。


私は正方形の白い箱が置かれた教卓の前にやって来た。


私たちの高校は新入生は入学式の日に、在校生は始業式の日に、クジ引きで座席を決めることになっている。


1年の時は廊下側の一番後ろだったな。


今年はどの席になるんだろう。


少しドキドキしながらクジを引く。


結果は窓際の前から3番目の席だった。


早速、移動して新しい席に座る。


日当たりが良いから、この季節は眠くなりそう。


欠伸をしてしまいそうになるのを堪えて、外の景色を眺めた。


謎だなぁ、朝丘くんとの会話の件。


体育祭や文化祭とかの学校行事で話したとか?


それとも選択授業とか?


どれもピンとこないな。


もっと他の可能性は……




「もしかして、まだ考えてる?」




その声にハッとして視線を向けると、朝丘くんがニコニコしながら隣の席に腰を下ろした。


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