君が紡ぐ初恋を、独り占めしたい。
「もう少しだけ考えてみる。私だけが一方的に忘れてるのは申し訳ないし、出来れば自力で思い出したいから」
「分かった。焦らずゆっくりでいいよ」
なんて寛容な人なんだろう。
なるべく早めに思い出せるように頑張らなくちゃ。
意気込んでいると、朝丘くんからクスッと笑い声が零れた。
「星谷との会話は、想定外の新鮮な反応がかえってくるから楽しい」
そんな風に言われるのは初めてで、戸惑ってしまう。
面白い冗談も言えないし、ごく普通の受け答えしか出来ないのに。
「同じクラスな上に席も隣になれて嬉しいよ。これからよろしくな!」
「よ、よろしくね」
どうして朝丘くんがこんなに喜んでくれているのか。
理由は分からないけれど。
高2の学校生活は今までと何かが変わりそうな……
そんな予感がした。