君が紡ぐ初恋を、独り占めしたい。
それぞれのカタチ
翌朝。
今日は校内を色々と歩き回ったら記憶が蘇るかも……なんて思いながら登校してきた私。
自分の席に着くとクラスの女の子たちが数人、周りに駆け寄って来た。
「星谷さんっ、おはよ~!」
「お、おはよう」
明るいハイトーンボイスに圧倒されながら挨拶すると、別の女の子がキラキラした目で私を見た。
「ねぇねぇ、朝丘くんと仲良いの?」
「えっと、何回か話したことがあるだけなのでまだ仲良しっていうほどでは……」
「えっ、星谷さんって何者!?」
「ヤバいじゃん」
なぜか驚愕している女の子たち。
よく分からない反応に首を傾げた。
「朝丘くんが自分から女子に話し掛けてるのって珍しいんだよ~」
「えっ?」
「私たちが話し掛けたら笑顔で言葉を返してくれるけど、話し掛けられたことは一度もないもん」
顔を見合わせて“だよね~”と同意している彼女たちを見ながら、口をポカンと開けてしまった。