没落令嬢は今日も王太子の溺愛に気づかない~下町の聖女と呼ばれてますが、私はただの鑑定士です!~
勤め先はブランド品やジュエリー、貴金属を扱う買い取り専門店で、今のオデットが宝石知識に長けているのはそのせいである。
前世を二十五年で終えた理由は宝石だった。
ある日、買い取った宝石に強烈な呪いがかけられていたので、店長の許可を得た上で祖母にお祓いしてもらおうと持ち帰る途中、トラックの横転事故に巻き込まれたのだ。
前世ではよく幽霊にも遭遇したけれどこの世界に転生した今は見ることがなく、どうやら宝石を見る力のみを捨てずに生まれてきたようだ。
ちなみに物心ついた時には前世の記憶はあったが、両親に話したら頭がおかしくなったと医者を呼ばれたので、それきり誰にも打ち明けていない。
呪いつきというオデットの鑑定に、ジェラールは目を大きく見開いた。
でたらめを言うなと頭ごなしに叱る客もたまにはいるが、彼はなにかを逡巡しているように琥珀色の瞳を揺らした。
「たしかに、熱の出始めとブローチを譲られた頃が一致するな……」
(信じてくれるのね、よかったわ)
オデットはポケットから正方形の白い紙を取り出しブローチを包んだ。
前世を二十五年で終えた理由は宝石だった。
ある日、買い取った宝石に強烈な呪いがかけられていたので、店長の許可を得た上で祖母にお祓いしてもらおうと持ち帰る途中、トラックの横転事故に巻き込まれたのだ。
前世ではよく幽霊にも遭遇したけれどこの世界に転生した今は見ることがなく、どうやら宝石を見る力のみを捨てずに生まれてきたようだ。
ちなみに物心ついた時には前世の記憶はあったが、両親に話したら頭がおかしくなったと医者を呼ばれたので、それきり誰にも打ち明けていない。
呪いつきというオデットの鑑定に、ジェラールは目を大きく見開いた。
でたらめを言うなと頭ごなしに叱る客もたまにはいるが、彼はなにかを逡巡しているように琥珀色の瞳を揺らした。
「たしかに、熱の出始めとブローチを譲られた頃が一致するな……」
(信じてくれるのね、よかったわ)
オデットはポケットから正方形の白い紙を取り出しブローチを包んだ。