没落令嬢は今日も王太子の溺愛に気づかない~下町の聖女と呼ばれてますが、私はただの鑑定士です!~
それは〝聖紙〟と呼ばれるもので、王都で最も歴史の古い教会のバロ司教からもらったものだ。
聖水に浸して祈りを捧げた聖紙には浄化の力がある。
カルダタンに呪いのジュエリーが持ち込まれた際には聖紙に包んで教会に持っていき、お祓いしてもらっていた。
「これをリバルベスタ教会のバロ司教にお渡しください。呪いを解いてくださいます」
聖紙を外さないようにと注意を加えてジェラールにブローチを返し、オデットはひと仕事終えた気の緩みから微笑んだ。
(ここに来てもお役に立てないと思ったけど、原因が宝石でよかったわ)
ジェラールの顔色はすぐに改善されて、ホッとしたように肩の力を抜いている。
「おかげで体が軽くなった。熱も引いた気がする。君は素晴らしい力を持っているね」
「聖紙の力ですよ。私は呪いを解けませんので。このブローチを身に着けていらっしゃらなかったんですね。よかったです」
「ああ。贈り物にケチをつけたくはないが趣味ではなかった。眼病を治すという話を信じたわけでもないのだが、緑色は目に優しいから執務机に置いたんだ。もし身に着けていたならどうなった?」
聖水に浸して祈りを捧げた聖紙には浄化の力がある。
カルダタンに呪いのジュエリーが持ち込まれた際には聖紙に包んで教会に持っていき、お祓いしてもらっていた。
「これをリバルベスタ教会のバロ司教にお渡しください。呪いを解いてくださいます」
聖紙を外さないようにと注意を加えてジェラールにブローチを返し、オデットはひと仕事終えた気の緩みから微笑んだ。
(ここに来てもお役に立てないと思ったけど、原因が宝石でよかったわ)
ジェラールの顔色はすぐに改善されて、ホッとしたように肩の力を抜いている。
「おかげで体が軽くなった。熱も引いた気がする。君は素晴らしい力を持っているね」
「聖紙の力ですよ。私は呪いを解けませんので。このブローチを身に着けていらっしゃらなかったんですね。よかったです」
「ああ。贈り物にケチをつけたくはないが趣味ではなかった。眼病を治すという話を信じたわけでもないのだが、緑色は目に優しいから執務机に置いたんだ。もし身に着けていたならどうなった?」