没落令嬢は今日も王太子の溺愛に気づかない~下町の聖女と呼ばれてますが、私はただの鑑定士です!~
「先ほどお話ししましたように小粒で巻きが薄く、いびつな玉も交ざっていますのでこれ以上の値はつけられないんです。ご希望に添えずすみません。でも私はとても素敵なネックレスだと思います。亡きお母様の想いがしみ込んでいますから」
先に売ってしまっていいのかと聞いた理由はそれである。
男性客は驚いてオデットの顔をまじまじと見た。
「俺、母親の形見だって言ってないよな。なんでわかった?」
(あなたを産んでよかった、楽しくて幸せな人生だったとこの方に感謝しているような母親の気持ちが伝わってきたから……)
オデットは査定して値段をつけるだけでなく、宝石にしみ込んだ持ち主の想いを読めるという特殊能力を持っている。
「えーと……なんとなくです」
それをうまく説明できずに苦笑してごまかし、真珠のネックレスを丁重にケースに戻すと男性客に返した。
先に売ってしまっていいのかと聞いた理由はそれである。
男性客は驚いてオデットの顔をまじまじと見た。
「俺、母親の形見だって言ってないよな。なんでわかった?」
(あなたを産んでよかった、楽しくて幸せな人生だったとこの方に感謝しているような母親の気持ちが伝わってきたから……)
オデットは査定して値段をつけるだけでなく、宝石にしみ込んだ持ち主の想いを読めるという特殊能力を持っている。
「えーと……なんとなくです」
それをうまく説明できずに苦笑してごまかし、真珠のネックレスを丁重にケースに戻すと男性客に返した。